関根津トム個人所蔵のハイチ・ブードゥーコレクションを記録した写真集「骸骨天国」より、コレクションの高精細写真をピックアップしたデジタル写真集。

ビザンゴ(Bizango)は、ハイチ共和国のアルティボニト周辺を中心に存在が報告されている、ブードゥー信仰の秘密結社です。その起源は、植民地時代に奴隷制度に抵抗した逃亡奴隷のコミュニティ(マルーン)にまで遡ると言われています。
ビザンゴは「夜の司法」とも呼ばれ、農村地域において土地や財産を守ったり、不義者に制裁を下す自警団的な役割も担っています。ビザンゴなどのハイチに存在する秘密結社はブードゥー教に邪悪な印象を与えるようになった要因の一つとされ、特に「ゾンビ」や黒魔術的な実践の多くはビザンゴに由来するという指摘があります。「ゾンビ」や「ルーガウー」は結社の仕業であると考えられており、現地では恐ろしいイメージを伴って畏怖の対象とされています。一方では、ビザンゴはハイチ革命(1791-1804年)の成功に寄与した存在として、民族の誇りや力の象徴として扱われることもあります。ビザンゴの赤と黒の配色はハイチ革命の象徴とされています。
ビザンゴ像はその結社の霊的な軍隊として制作されます。これらの像は複数体が同時に制作され、軍隊を模して配置することで、結社による強力な加護が得られるとされています。像の共通する特徴として「全身が布で覆われている」「武器、呪具、鏡などで武装している」「頭部に人間の頭蓋骨が納められている」などの要素が挙げられます。

関根津トムがコレクションするビザンゴ像は体系的なまとまりを持ち、制作年(2023-2025)と作者が明確に記録されているという特徴があります。これは、個々の像が持つ独自の物語や精神性を理解する上で極めて重要です。この貴重な情報により、かつて博物館に収蔵されたビザンゴ像と比較して異なる特徴が見受けられることや、それぞれの像が制作者の個人的な宗教的信念を反映した独自の個性を持っていることが裏付けられました。
これらの事実は、ブードゥー教が今日も実践され続けている生きた信仰であることを示しており、コレクションを維持することの重要性を強調しています。関根津トムコレクションは、これらの像が単なる「オブジェクト」ではなく、個々の制作者の信仰やコミュニティの歴史を体現するものであることを示します。そして、西洋近代的な価値観や帝国主義的な枠組みを超えたグローバルな文化対話の中で、ブードゥー教とハイチ史の複雑さを読み直す契機を提供します。

収録内容
・ビザンゴ像+ブードゥー人形の高精細写真(28枚)
・コレクション詳細情報
・鑑賞コラム(文/関根津トム)
1,100円(税込)
 
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